1960年代…ビートルズ、ストーンズを始め、英国のロックミュージシャンたちの多くが身に纏っていたミリタリーファッション。
例えばビートルズが『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』のアルバムジャケットで着ていたあの衣装。
そしてアメリカからイギリスの渡ってブレイクしたジミ・ヘンドリックスが着ていたあの上着。
それらはファッションシーンなどで“ナポレオンジャケット”とも呼ばれている軍服のことである。
60年代の後半には世界的な流行となり、日本でもGS(グループサウンズ)のバンドメンバーがステージ衣装として取り入れていた。
ミリタリージャケットと呼ばれる多くのものは、第一次世界大戦時の英国軍の将軍の礼服だった。
ジミヘンは1966年に渡英してまもない頃、ロンドンのヴィンテージショップでゴージャスな軍服を見つけ、チャス・チャンドラー(アニマルズのベーシストでもあり当時ジミのマネージャーを担当)にベースを売って工面してもらったお金で購入した。
チャスは、アニマルズ時代にイメージ戦略(衣装や写真)の重要性をよく理解したので、なんの躊躇もしなかったという。
「あの服はイギリス王立獣医軍団のものさ!1898年製だったっけ?軍服としてはかなりの代物だ。」
ジミは十代の頃に(一時期だけ)アメリカで陸軍に志願入隊している。
陸軍第101空挺師団(別名スクリーミング・イーグルス)に所属し、実際に軍服に身を包んだ経験のある数少ない若手ロックミュージシャンの一人だった。
「16歳で学校を中退して暇を持てあましてたし、俺が生まれ育ったシアトルの町では面白いことなんてなんにもなかったんだ。法的に入隊が許可される17歳になるのを待って陸軍に志願したんだ。そしたら驚くべきことに、軍人生活の方がずっとつまんなかったんだ!気温が0度以下で腕立て伏せ。飛行機からの落下訓練。軍隊は俺の根性を叩き直そうとした。俺が泥の中でも眠れるかどうか試したかったんだ。」
1966年9月24日、ジミ・ヘンドリックス(当時22歳)はロンドンのヒースロー空港に降り立った。
当時まだ無名だった彼は、その後、音楽シーンに革命をもたらすこととなる。
アニマルズのベーシストだったチャス・チャンドラーに見いだされた彼は、アメリカからの渡英を決断する。
当時、チャスにジミの情報をもたらしたのは、キース・リチャーズの恋人リンダだった。
ニューヨークのクラブ『チーター』で演奏していたジミに、リンダは強い衝撃を受けたという。
当時、ジミはそれまでのバックミュージシャンを脱して、自らのバンド“Jimmy James and the Blue Flames”を率いていた。
チャスはジミの演奏を初めて聴いたときのことを鮮明に憶えていた。
「ギタリストが3人くらい同時に演奏しているのかと思ったが、実際にはジミ1人だけと知って驚いたよ!これほどの才能に誰もまだ気がついていなかったなんて、何か裏があるのではないかと不安になるほどだった。」
ジミはロンドンでノエル・レディング(ベース)、ミッチ・ミッチェル(ドラムス)と共に新たしいバンド“The Jimi Hendrix Experience”を結成する。
アメリカからやってきた黒人が、イギリスの伝統的な服を身に纏って、左利きのエレキギターで爆音ブルースを演奏する…その圧倒的なジミの実力とパフォーマンスは、チャスの後押しもあって一気にブレイクを果たす。
気位の高い一部のイギリス人にとって、アメリカ人で黒人のジミが英国の軍服を衣装にすることは“いけ好かない”ことだった。
「ある夜、俺はあの服を着てロンドンの街を歩いていたんだ。すると青いランプを点滅させた車が近づいて来て、5〜6人の警官が俺に飛びかかってきたんだ。あいつら至近距離から俺の顔をまじまじと見て、容赦ない雰囲気で取り囲みやがった。」
ジミと警官の間でこんなやりとりがあったという。
警官「それはイギリス製か?将軍の服だろ?」
ジミ「だったらなんだってんだ!それが何か問題あるのか?」
警官「昔、その服を着て、多くの勇者たちが国のために死んでいったんだ!お前のような奴にその服を着る資格はない!」
ジミ「1898年のイギリス王立獣医軍団の払い下げ品を着たらだめなのか?とにかく俺は軍服が好きなんだ。アメリカ陸軍でずっと着ていたからな!」
警官「お前!警察をだますつもりか!それじゃどこの部隊所属なんだ!」
ジミ「ジ・エクスペリエンスさ!」
警官「お前は放浪の詩人にでもなったつもりか!?お前のような奴の顔を見ているだけで気分が悪くなる!」
警官たちは去り際に馬鹿にした笑いと共に、ジミに向かってこんな捨て台詞を吐いた。
「おい!お前はエクスペリエンスに属しているって言ったな。何を経験(エクスペリエンス)してるんだ?」
ジミは振り向きざまに一言。
「ポリス・ハラスメントさ!」
<引用元・参考文献『ジミ・ヘンドリクスかく語りき』スティーブン・ロビー (著)安達眞弓(訳)/スペースシャワーネットワーク>
こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。
【佐々木モトアキ独り唄いTOUR“歌ものがたり2021”秋冬】
9月11日(土)金沢JealousGuy
9月12日(日)富山(高岡)GOOD FELLOWS
9月17日(金)北海道(恵庭)Mojo Hand
9月18日(土)北海道(札幌)SALINAS
9月19日(日)北海道(苫小牧)M’s Garden
9月20日(月・祝)北海道(旭川)Live Snack &.
9月22日(水)北海道(札幌)LOG
10月2日(土)茨城(古河)三和ふるさとの森
10月3日(日)新潟Live Bar Mush
10月8日(金)東広島pasta amare
10月9日(土)山口(下関)T-Gumbo
10月10日(日)福岡(雑餉隈)@-yaya GARAGE
10月16日(土)茨城(古河)Live studio音出事
10月23日(土)吉祥寺Rock Joint GB
10月30日(土)福岡Public Bar Bassic.
10月31日(日)熊本(八代)bar 7th chord
11月3日(水・祝)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
11月7日(日)徳島 デラシネ
11月12日(金)小倉Bar Disa
11月13日(土)広島OK鉄板
11月14日(日)大分(宇佐)音小屋REBOOT
11月19日(金)仙台 ホームラン酒場
11月20日(土)二戸FREED
11月21日(日)八戸FLAT
11月22日(月)青森 Be on space222トラスト
11月23日(火・祝)秋田カウンターアクション
11月27日(土)下北沢ニュー風知空知
12月3日(金)名古屋ローリングマン
12月4日(土)岡山Desperado
12月5日(日)大阪 大きな輪
12月11日(土)福岡NIKAI
12月12日(日)大牟田 陽炎
12月18日(土)所沢 MOJO
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12692844619.html
新作ミニアルバム『You』のタイトルナンバー「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です
![✨](http://s.w.org/images/core/emoji/11/72x72/2728.png)
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。
![](http://www.tapthepop.net/wp/wp-content/uploads/2016/10/Blog_042517-1200x673-600x337.jpg)
佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。
例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
ライブイベントの紹介・宣伝文や、アーティストの紹介文なども対応できます。
音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。
音楽、人、食、商品、街(地域)…私たちが関わるものすべてには“ものがたり”があります。
あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします
![✒](http://s.w.org/images/core/emoji/11/72x72/2712.png)
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
sasa@barubora.jp
090-2669-2666
【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html
【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki
The post ジミヘンがナポレオンジャケット(軍服)を身にまとうようになった理由 appeared first on TAP the POP.