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Channel: 佐々木 モトアキ – TAP the POP
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スローなブギにしてくれ〜気弱で強がりなハードボイルドの世界観を見事に仕立て上げた南佳孝と松本隆の手腕

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この南佳孝が作曲した「スローなブギにしてくれ(I want you)」は1981年1月21日にリリースされた。
作詞はこの当時からヒットメーカー(作詞家)として快進撃を始めていた松本隆。
その春に公開された片岡義男の小説を原作とした同名の角川映画『スローなブギにしてくれ』(浅野温子主演)の主題歌として起用され累計枚数40万枚を超える大ヒットとなった。
1979年に南が発表した「モンロー・ウォーク」を、郷ひろみが「セクシー・ユー」のタイトルでカバーしてヒット。
徐々に脚光を浴び始めていた南にとって、この映画主題歌での抜擢はまさにチャンスだった。
南は当時のことをこんな風に述懐している。

「あの曲がヒットして浮上できたけど、それまでの路線とは違うじゃない。本来、シコシコやってる方が好きな人間だからね。だけど映画の仕事は一度やってみたかったからチャレンジしてみたんだ。正直言って…角川商法みたいなものをうまく利用しようという気持ちもあったね。」

またレコーディング中には角川春樹がスタジオに来て製作の様子を伺うほどの熱の入れようだったという。
作詞を任された松本は角川から直接「映画のタイトルを曲のタイトルにすること」と依頼され、ストーリーに添った“ハードボイルド”な世界を要求されたという。
松本はあるインタビューで、その世界観についてこんなことを語っている。

「作家のレイモンド・チャンドラーなんかが描いたハードボイルドってのはね、けっこう気弱なんですよ。そのくせ強がってる感じが“それ”なんですよ。」


この歌の歌詞に「生き急いだ男の夢を憐れんで」という1節がある。
【生き急ぐ】一見聴き慣れた言葉のように聞こえるが、実はこの曲から生まれた松本による“新しい言葉”だったという。

「“死に急ぐ”という日本語はあるが“生き急ぐ”というのは、あまり聞いたことがないから僕の造語のような気がしますね。」


当時、南のディレクターを担当していた高久光雄はこう振り返っている。

「都会の音楽がやりたい。都会の音楽があってもいいじゃないかと思って佳孝をやることにしたんだけど、この曲によって広く世間に受け入れられたことは本当に自信になりました。」

時代もまた南に味方をした。
70年代に荒井由美がブームを巻き起こすと、若者たちの音楽の好みが急変したという。
理屈っぽいフォークソングやメッセージ性の強い曲は敬遠され、耳触りの良い、心地よいポップスが好まれるようになってきた。
南は子供の頃から“ポップス”が好きだったという。
ジョニー・レイのヒットで知られる「Just Walking In The Rain(雨に歩けば)」を聴いたのが最初の音楽体験だった。


彼は最初から洋楽志向だったという。
ナット・キング・コール、フランク・シナトラ、ペギー・リーなどをラジオで聴き、スタンダードナンバーやポップスに心を奪われてゆく。
中学時代にビートルズを経験し、強烈な衝撃を受ける。
明治学院高校に入学と同時にロックバンドを結成し、ギターを担当する。
そのまま明治学院大学に入ると、今度はジャズの世界へと足を踏み入れる。
やがて学生運動に嫌気がさして大学を中退。
ジャズのギタリストとして本格的に音楽活動を始める。
1972年頃からオリジナル曲を作り始めてシンガーソングライターへと転身する。
以降、現在に至まで彼は“ポップス一筋”で生きてきた。


<引用元・参考文献『フォーク名曲事典300曲』/富澤 一誠(ヤマハミュージックメディア)>

【南佳孝オフィシャルサイト】
http://www.minamiyoshitaka.com/index.php




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