アメリカ合衆国の東西、シカゴからLAサンタモニカを結ぶ全長3755kmの一本道、ルート66。なんと、日本列島の全長約3000kmよりも長い距離だというから驚きだ。1926年に創設された国道66号線が通る地の大半は砂漠地帯で、グランドキャニオンなどの自然遺産も残されている。
いつか君が車で西部に行くんだったら
僕が薦めるこのハイウェイ こいつが一番さ
ルート66を突っ走れ!
シカゴからLAまで風が吹き抜ける
2000マイル以上の曲がりくねった道
ルート66を突っ走れ!
この一本の道は人々の冒険心とロマンを掻き立て、これまでに小説や映画・TVドラマの舞台としても取り上げられてきた。
作家ジョン・スタインベックは、『怒りの葡萄』(1939年)でルート66を“マザーロード(母なる道)”と名づけ、米ドラマ『ルート66』(1960年〜1964年)は、2人の若者が冒険を求めてハイウェイをひた走るロードムービーで爆発的な人気を呼んだ。主演のジョージ・マハリスが「Get your kicks on Route66」を歌い、多くの人々に愛されるメロディーとなった。
もはや世界のスタンダードソングと言っても過言ではないこの「Get your kicks on Route66」とは、いつ頃、誰の手によって、どんなきっかけで作られた楽曲なのだろう?
今からさかのぼること約75年…俳優・ジャズピアニスト・作曲家として活躍していたボビー・トゥループが、28歳を迎えた1946年に作詞作曲したものだと記録されている。
彼は自らがプロデュースしジャズ歌手として成功したジュリー・ロンドンの夫としても知られる男だ。それは、ある日彼が友人達と一緒に愛車でのドライブしていたときのことだった。
突然、降って湧いてきたかのようにこの軽快なメロディーと歌詞のフレーズを思いつき、同乗していた友人と車の中で合唱しながら曲の原型を作ったのだという。
シンプルなリフを基調とする親しみやすい曲調と、観光案内的で楽しい歌詞とが相まって広く好まれ、半世紀以上に渡って歌い継がれてきた。
ナット・キング・コールによるバージョンの他、ビング・クロスビー&アンドリュー・シスターズでのヒットをはじめ、その後もジャズだけに限らず、ジャンルや世代を超えて多くのアーティスト達がこの曲をカヴァーしている。1961年には、チャック・ベリーが5枚目のアルバム『New Juke Box Hits』でこの曲を取り上げている。
このチャック・ベリーのバージョンを基に、イギリスや北アイルランドのロックバンド(ローリング・ストーンズ、ドクター・フィールグッド、ゼム等)がこぞってカヴァーしている。
かつてこのルート66は、モータリゼーション(自動車の大衆化)全盛時代の幕開けと共に、アメリカ南西部の経済や産業の発展の原動力となった。ファーストフード文化が生まれたのもこのルート66だと言われており、モーテルやレストランなどのビジネスチャンスの場でもあった。
たくさんの人々の思い出の“マザーロード(母なる道)”となったルート66だったが、50年代後半から登場した州間高速道路(インターステート)によってその利用者は激減し始めた。かつて賑わったモーテルやレストランの利用者の姿もまばらとなり、ルート66は衰退の一途を辿ろうとしていた。
「ルート66をこのまま無くしてしまってはいけない!」
そう言って立ち上がったのは、アリゾナ州にあるセリグマンという小さな町で、床屋さんとアイスクリーム屋さんを営んでいたデルガディーロ兄弟だった。
1967年に、彼らは“Histric Route 66 Association Arizona”という非営利団体を立ち上げ、アリゾナの議会にルート66の保存を認めるよう働きかけた。
彼らの復興運動は実り、ルート66は地図上から消えることなく、その道は“アメリカの発展の象徴”として残される形となった。
ルート66を通る他の7州(イリノイス、ミズウリ、カンザス、オクラホマ、テキサス、ニューメキシコ、カリフォルニア)も、このデルガディーロ兄弟の考えに影響され、それぞれの州に“Historic Highway Association”を設立した。
歴史的文化価値を持つ“Historic Route 66”として指定されたこの一本道。古き良き時代を懐かしむ人々。40年代50年代のアメリカンカルチャーに興味を持つ若者達。
「一度はアメリカのマザーロード(母なる道)を旅してみたい!」という冒険の雰囲気に誘われて、今も世界中から人々が訪れるのだという。
ジョージ・マハリス「Get Your Kicks On Route 66!」
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