1968年2月10日。全米ミュージックチャート史において、歴史的な出来事が起きた。フランス人アーティストによるインストゥルメンタル楽曲が1位に輝いたのだ。
その記念すべき曲の名は「Love Is Blue」。フランス語の原題は「L’amour est bleu」、日本タイトルは「恋はみずいろ」と付けられた。
クレジットには作詞ピエール・クール、作曲アンドレ・ポップと記されている。この曲は1967年に行なわれたユーロビジョン・ソング・コンテストのために、ルクセンブルグ大公国の代表曲として書かれたもので、当時ギリシャの船会社主の娘ヴィッキー・レアンドロス(当時18歳)が歌って4位に入賞している。
翌年、イージーリスニング界の第一人者ポール・モーリアがアレンジしたインストゥルメンタル版がアメリカでリリースされて大ヒットを記録する(1968年2月〜3月のBillboard Hot100で5週連続第1位)。
当時はまだ“ムード音楽”として軽視されていたジャンルが、“イージーリスニング”という新しい呼び名を冠されて、ヒットチャートを駆け上る快挙を遂げたのだ。当時の音楽誌では、「ビートルズの“ハロー・グッバイ”の上昇を妨げた曲」として紹介されることもあった。
ヴィッキーの歌唱版も、ポール・モーリア版のヒットと共に各国で注目されるようになる。同年には漣健児訳詞による日本語版「恋はみずいろ」が作成され、6ヵ国語を使い分ける語学力を持っていたヴィッキーは、初来日の際(1970年)に日本語バージョンを披露した。
その後、森山良子や天地真理、山本リンダといった人気歌手が歌唱し、日本でも広く親しまれるようになる。現在でもBGMの定番のひとつとして、様々な映像作品やTV番組などで用いられており、世界中で多くの人々に親しまれている曲だ。
ちなみに、この曲のタイトルに用いられている“bleu”。日本では悲しいイメージに結びつけがちな青色、“みずいろ”と訳されているが、フランスではこの青系の色は、美しく明るいイメージで用いられることがほとんどらしい。
この曲でも、恋の美しさや素晴らしさをあらわす色として用いられている。フランスの北部の気候を知れば、よりこの“bleu”が持つニュアンスを理解できるらしい。灰色の空の下で凍える長い長い冬から、青空が広がる暖かな春の到来を、フランス人は毎年待ちわびるという。
<引用元・参考文献『ポップ・フランセーズ名曲101徹底ガイド』向風三郎(音楽出版社)>
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恋はみずいろ~ヴィッキー・ベスト・セレクション
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ポール・モーリア~ベスト・セレクション
執筆者
【佐々木モトアキ プロフィール】
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【公演スケジュール】
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