「California Dreamin’」/ママス&パパス
木の葉はみんな枯葉色、そして空はどんより鉛色
そんな冬の日、僕は散歩していたんだ
もしロスにいれば気持ちが安らぎ暖かいのに…
こんな冬の日にはカリフォルニアを夢見るよ
1965年のこと。
ミシェル・フィリップス、キャス・エリオット、デニー・ドハーティ、ジョン・フィリップスという、一組の夫婦を含んだ男女4人によってママス&パパスは結成される。
彼らが同年に放ったデビューシングル「California Dreamin’(夢のカリフォルニア)」は、たちまちヒットチャートを駆け昇り、時代を代表する一曲となる。
その“時代”とはどんな時代だっのか?
―――彼らは、当時ウェストコーストロックの特徴でもあった“フォークロック”の先駆者であり、サンフランシスコを中心に全米に広がっていったフラワームーブメント(平和運動)の中心にいた。
ベトナム戦争を背景に、平和と愛の象徴として花で身体を飾っていた若者達は“フラワーチルドレン”と呼ばれた。
『武器ではなく、花を』をスローガンに掲げた約10万人の若者達が、サンフランシスコのヘイト・アシュベリー周辺に集まり“サマー・オブ・ラブ”という社会現象まで巻き起こすこととなる。
サンフランシスコ以外にも膨大な数のヒッピー達がニューヨーク、ロサンゼルス、フィラデルフィア、シアトル、ポートランド、ワシントンD.C.、シカゴ、カナダのモントリオール、トロント、バンクーバーやヨーロッパの各都市に集った。
当時のサンフランシスコは音楽、ドラッグ、フリーセックス、表現、政治的意思表示の中心地、ヒッピー革命の本拠地となっていた。
1967年、リーダー的存在だったジョン・フィリップスが史上初の野外ロックコンサート『モンタレー・ポップ・フェスティバル』のプロデュースに関わり、ママス&パパスは時代を象徴するグループとなった。
彼らはその後、クロスビー,スティルス&ナッシュの結成を応援したり、ジョニ・ミッチェルのデビューに貢献したりもする。
さかのぼること数年…1962年のある日の出来事だった。
まだハイスクールの学生だったミッシェルはカリフォルニアのライヴハウスで、フォークバンド“ニュージャーニーメン”のステージを観に行く。
彼女はそこで演奏していた背の高いギタリストのジョン・フィリップスに一目惚れした。
二人はその日のうちに意気投合し、駆け落ちのような形でニューヨークへ向かったという。
同年の年の瀬(12月31日)に、二人は結婚する。
ミッシェルはあるTV番組で、当時のことを振り返りながらこんなエピソードを語っている。
友だちはニューヨークは寒いからウールを着ていった方がいいとアドバイスしてくれたけど、私はその意味をちゃんと理解せずに薄着のまま冬のニューヨークで寒さに震えていたの。
ある夜、モーテルの一室で寝ていると夜中にジョンが「曲が出来たから起きてくれ」と言って起こされ、一緒に曲作りを手伝ったわ。
それが「California dreamin’(夢のカリフォルニア)」だったの。
1965年、二人はカリフォルニアに戻って旧友のキャス・エリオットやデニー・ドハーティと合流し、ママス&パパスを結成する。
彼らはヒッピーのような生活を続けながら、当時「Eve of Destruction(明日なき世界)」や「Green Green」のヒットで頭角を現していたカリフォルニアのシンガーソングライター、バリー・マクガイアの家に転がり込んでいた。
「Eve of Destruction(明日なき世界)」/バリー・マクガイア
そこで彼のバックバンドの仕事をしたりレコーディングにも参加していた。
実はこの「California dreamin’(夢のカリフォルニア)」は、最初バリー・マクガイアがリードボーカルでレコーディングしたのだという。
それは、彼らからバリーに対する「居候(いそうろう)」や「仕事」の御礼の意味でもあった。
ところが、その歌入れの翌日に当時のプロデューサーが「これは彼らの曲だから、やっぱり彼らに歌わせよう」ということになり、急遽ママス&パパス4人でのバージョンが録音されたのだ。
![IMG_0266-300x291](http://www.tapthepop.net/wp/wp-content/uploads/2015/02/IMG_0266-300x291.jpg)
そのシングルレコードがいきなり全米4位の大ヒットとなり、セカンドシングル「Monday Monday」は見事1位を獲得する。
両曲を含むファーストアルバムもヒットして、彼らは一躍スターへの階段を駆け上ってゆく。
1967年にスコット・マッケンジーが歌って空前の大ヒットとなった「San Francisco(花のサンフランシスコ)」は、スコットと幼なじみだったジョン・フィリップスが手掛けたものだった。
「San Francisco」/スコット・マッケンジー
そんな輝かしい成功の影で、グループ内での不倫などが発覚し…ママス&パパスの活動期間は1965年~1968年とわずかなものとなった。
1971年から一年間だけ再結成されたこともあったが、その後は各々が別の道を歩む形となった。
解散の翌年(1969年)、グループを崩壊へ追い込んだ“不倫騒動”の原因を作ったミシェル・フィリップスは映画俳優デニス・ホッパーと結婚し…たったの1週間で離婚したという。
彼女はその美貌を活かして1970年代から女優として再スタートを切り、数作の映画に出演した後、主な舞台をTVドラマの世界に移す。
「新スタートレック」他、「デスパレートな妻たち」、「ビバリーヒルズ高校白書」などなど、日本でも有名なドラマに多数出演している。
時は流れ…1998年、ママス&パパスは60年代後期に成し遂げた様々な功績が認められ“ロックの殿堂入り”を果たす。
ビーチボーイズやカーペンターズ、そして盲目の天才アーティスト、ホセ・フェリシアーノが素晴らしいカヴァーバージョンを聴かせてくれる中、日本では今をときめく“アイドルグループ”の元祖ともいえるキャンディーズが歌っていたり、伝説のメロコアバンドHi-STANDARDがカヴァーをしている。
また、アジア独特の様式美を映像の世界で表現する映画監督ウォン・カーウァイの大ヒット作『恋する惑星』(1994年)の劇中で、同曲が効果的に使用されて話題となった。
彼女にあんなこと言わなければ
今日にでも、ここを旅立つことができたのに
こんな冬の日には、カリフォルニアを夢見るのさ
こんな冬の日には…そう、こんな冬の日にはね
「California Dreamin’」/映画『恋する惑星』より
「California Dreamin’」/ホセ・フェリシアーノ
「California Dreamin’」/ザ・ビーチボーイズ
「California Dreamin’」/キャンディーズ
「California Dreamin’」/Hi-STANDARD
こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。
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【佐々木モトアキ独り唄いTOUR“歌ものがたり2021”秋冬】
9月11日(土)金沢JealousGuy
9月12日(日)富山(高岡)GOOD FELLOWS
9月17日(金)北海道(恵庭)Mojo Hand
9月18日(土)北海道(札幌)SALINAS
9月19日(日)北海道(苫小牧)M’s Garden
9月22日(水)北海道(札幌)LOG
10月3日(日)新潟Live Bar Mush
10月8日(金)東広島pasta amare
10月9日(土)山口(下関)T-Gumbo
10月10日(日)福岡(雑餉隈)@-yaya GARAGE
10月16日(土)茨城(古河)Live studio音出事
10月23日(土)吉祥寺Rock Joint GB
10月30日(土)福岡Public Bar Bassic.
10月31日(日)熊本(八代)bar 7th chord
11月3日(水・祝)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
11月7日(日)徳島 デラシネ
11月12日(金)小倉Bar Disa
11月13日(土)広島OK鉄板
11月14日(日)大分(宇佐)音小屋REBOOT
11月19日(金)仙台 ホームラン酒場
11月20日(土)二戸FREED
11月21日(日)八戸FLAT
11月22日(月)青森 Be on space222トラスト
11月23日(火・祝)秋田カウンターアクション
11月27日(土)下北沢ニュー風知空知
12月3日(金)名古屋ローリングマン
12月4日(土)岡山Desperado
12月5日(日)大阪 大きな輪
12月11日(土)福岡NIKAI
12月12日(日)大牟田 陽炎
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