Quantcast
Channel: 佐々木 モトアキ – TAP the POP
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1677

ウィルコ・ジョンソン27歳〜ロンドンのパブロックシーンを席巻したドクター・フィールグッド

$
0
0

70年代初頭からイギリスのパブロック・シーンを牽引し、後のパンク・ロック・ムーブメントの火付け役となったドクター・フィールグッドから始まり、ソリッド・センダーズ、ザ・ブロックヘッズ、そしてソロ名義での活動と、長いキャリアを通してロックシーンの大きな足跡を残してきたウィルコ・ジョンソン。
“マシンガンギター”の異名を持つ彼のピックを使わない鋭いカッティングとリードを同時に弾く奏法は、世界中で数多くのフォロワーを生み、世代を超えてリスペクトされ続けている。
彼は27歳の頃にどんな日々を過ごしていたのだろう?


1947年7月12日、彼はイギリスのエセックス州キャンベイ・アイランドで産声をあげた。
ガス工事業者の父と元看護婦の母親の間に生まれた3人兄弟の長男だった彼は、幼少期にあまり親からの愛情を受けることなく育ったという。
十代の頃に楽器店でフェンダーテレキャスターを買ったことをきっかけに彼は音楽にのめり込むようになる。
学生時代にバンドを結成し地元の労働者向けのパブなどで演奏していたが、成績優秀だった彼は、ニューカッスル大学で英文学を学ぶために地元を後にし、しばらくギターから遠ざかる。
教師になる夢を抱いていた彼は、在学中(1968年・当時21歳)にティーンエイジャー時代からのガールフレンドと結婚し2人の息子をもうける。
大学卒業後、ヒッピーとしてインドとネパールを放浪し…帰国後、地元の高校で母国語教師をしていたが、1971年(当時24歳)リー・ブリローやジョン・B・スパークスに誘われドクター・フィールグッドを結成する。

──それはバンド結成から3年目の頃だった。
ウィルコ・ジョンソンは27歳だった当時のことを鮮明に憶えているという。

「ロンドンのパブロックシーンが盛り上がっているという話は俺達の耳にも入っていたよ。単にビールを提供するだけでなく、客にいいバンドの音楽を楽しんでもらうことに重きを置いたパブが増え、新たなライブスポットとして機能し始めていたんだ。すでにその名が知られていたマーキーや100クラブに加え、ディグウォールやホープ&アンカーなどが人気だったよ。」


こういったパブでライブを行なっていたミュージシャンの中には、有名どころも多く、出演者の音楽性は多様を極めていたという。
ロック、カントリー、ジャズ、伝統音楽…質の高いバンドのパフォーマンスも聴けたが、中には素人演奏も平気でまかり通っていた。

「競争相手を探そうとしたけど…わりと早い段階で、大半がさしたる刺激にもならないバンドばかりだという見解に至ったよ。そんな中でもイアン・デューリーのバンドだけはずば抜けて素晴らしかった。歌詞もステージングも衣装も、ただただ圧巻としか言いようがなかった。」


エセックス州の田舎町からロンドンへ殴り込んだドクター・フィールグッドは、たちまち観客たちを魅了していった。
彼らは最小限の楽器・機材で体当たりのエネルギーを炸裂させる“本質的なロックンロール”をリアルに体現していた。
短髪にスーツ姿で躍動感のあるステージアクションを展開する彼らに、ロンドンの若者達は熱狂した。

「俺達はロンドン中のライブ会場を満員にし、音楽誌でも絶賛されるようになった。ある日ライブ前に、ケンジントンの表通りに立っていた俺は、タクシーで会場に乗りつけるファンを目撃して驚いた。タクシーのパブへ来るほど経済的に余裕のある層が俺たちのライブを観に来ているのか!俺たちは本当に有名になったんだ!ってね。」


ある夜、彼らは最高潮に盛り上がる客を相手に、いつものようにシンプルでストレートな演奏で応えていた。
会場にはレコード会社の制作担当者やジャーナリストなど音楽業界の人間が多数詰めかけていた。
終演後、彼らのもとに夢のようなオファーが立て続けに舞い込んだという。

「会場をあとにしてメンバーと一緒に電車に乗り込んで、バーキングの高架線に差し掛かった時、俺たちの眼下にはエセックスの街の灯りが広がっていた。俺はメンバーにこう告げたんだ。これから凄いことが起こるかもしれないぜ!ってね。高架線からの景色は、俺たちを待ち受ける世界を暗示しているようだった。」


1975年1月、ウィルコ・ジョンソンが27歳の時にドクター・フィールグッドは1stアルバム『Down by the Jetty』を発表した。
レッド・ツェッペリンやキンクス、スモール・フェイセスを手掛けたことでも知られるヴィック・メイルをプロデューサーに迎えた同作は、じわじわと売れ上げを伸ばしていき、彼らのステージはパブからどんどん大きな会場になっていった。


「シティーホールや劇場でのコンサートに加え、何本かライブ出演したテレビ番組は大きな話題となったんだ。俺たちの公演はすべてソールドアウトとなり、その勢いはもう止まらないように思えた。」


彼は妻アイリーンと幼い息子マシューとの私生活をとても大切にしていた。
名声を得たことによって、街へ出れば自意識過剰にならざるを得ない環境が待っていたという。
無名の時代からある日突然立場が変わっても、彼は決してスター扱いされることに慣れることはなかった。

「あの頃は居心地が悪かったよ。おい!勘弁してくれ!俺だよ!俺!ってね(笑)」


<参考文献『不滅療法〜ウィルコ・ジョンソン自伝〜』ウィルコ・ジョンソン(著))石川千晶(翻訳)/リットーミュージック>



こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。






【佐々木モトアキ独り唄いTOUR“歌ものがたり2021”秋冬】


9月11日(土)金沢JealousGuy
9月12日(日)富山(高岡)GOOD FELLOWS
9月17日(金)北海道(恵庭)Mojo Hand
9月18日(土)北海道(札幌)SALINAS
9月19日(日)北海道(苫小牧)M’s Garden
9月22日(水)北海道(札幌)LOG  
10月3日(日)新潟Live Bar Mush
10月8日(金)東広島pasta amare
10月9日(土)山口(下関)T-Gumbo
10月10日(日)福岡(雑餉隈)@-yaya GARAGE
10月16日(土)茨城(古河)Live studio音出事
10月23日(土)吉祥寺Rock Joint GB
10月30日(土)福岡Public Bar Bassic.
10月31日(日)熊本(八代)bar 7th chord
11月3日(水・祝)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
11月6日(土)徳島CROWBAR
11月7日(日)徳島デラシネ
11月12日(金)小倉Bar Disa
11月13日(土)広島OK鉄板
11月14日(日)大分(宇佐)音小屋REBOOT
11月19日(金)仙台 ホームラン酒場
11月20日(土)二戸FREED
11月21日(日)八戸FLAT 
11月22日(月)青森 Be on space222トラスト
11月23日(火・祝)秋田カウンターアクション
11月27日(土)下北沢ニュー風知空知
12月3日(金)名古屋ローリングマン
12月4日(土)岡山Desperado
12月5日(日)大阪 大きな輪
12月11日(土)福岡NIKAI 
12月12日(日)大牟田 陽炎
12月18日(土)所沢 MOJO


↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12692844619.html




新作ミニアルバム『You』のタイトルナンバー「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
ライブイベントの紹介・宣伝文や、アーティストの紹介文なども対応できます。
音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。


音楽、人、食、商品、街(地域)…私たちが関わるものすべてには“ものがたり”があります。
あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします✒
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
sasa@barubora.jp
090-2669-2666

【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html

【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki


The post ウィルコ・ジョンソン27歳〜ロンドンのパブロックシーンを席巻したドクター・フィールグッド appeared first on TAP the POP.


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1677

Trending Articles