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Channel: 佐々木 モトアキ – TAP the POP
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KISSのジーン・シモンズが初めて火を吹いた日

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1973年9月下旬、KISSはいよいよデビューアルバムのレコーディングをスタートさせる。
54丁目とブロードウェイが交わる場所にあるベル・サウンド・スタジオという小汚い二流スタジオだった。
ジーン・シモンズは当時のことを鮮明に憶えていた。

「スタジオでの仕事はてきぱきと進められた。俺たちは全員同じ部屋に入ってかなりの速さで録音を終えた。あの時はほとんどオーヴァーダブもやらなかったよ。」


こうしてレコーディングが完了し、バンドはジャケット用の写真撮影も済ませた。
リリース後に予定されていたツアーに向けてミーティングが行われた。
事務所の会議室でニール・ボガート(キッスが初めてレコード契約を交わしたカサブランカ・レコードの創立者)がメンバーにこんな提案をしてきた。

「ドラムセットが宙に浮いたりする舞台技術があるのだがやってみないか?それと、メンバーの誰かが口から火を吹くパフォーマンスはどうだろう?」


翌日、事務所には早速マジシャンが呼ばれ、彼らの目の前で勢いよく火吹き芸を披露した。

「これを誰がやる?メンバーは明らかに嫌がっていたよ。誰も希望者はいない…その時、俺の好奇心がムクムクと頭をもたげたんだ。俺がやる!そう言って俺は右手をあげた。それで決まったんだ。」


1973年の12月31日、彼らはニューヨークのアカデミー・オブ・ミュージックで行われたライブに出演した。
それはデビューアルバムが発売される直前のプロモーションの一環だった。
この日はイギー・アンド・ザ・ストゥージズとブルー・オイスター・カルトをメインアクトに、イギリスのバンド、フレイミング・ユースやニューヨークの地元のティーンエイジ・ラストらも出演した大規模な大晦日コンサートだった。

「4000人を前に俺たちに与えられた演奏時間は30分だけだった。ド派手な衣装に身を包み、俺たちが登場しただけで観衆は大喜びだった。ポールが一曲目の“Deuce”のイントロを弾いた瞬間ホールが揺れだした。」



曲が進むにつれて観客たちは彼らの勢いに巻き込まれていくようだった。
3曲目の「Firehouse」では、舞台に大量のスモークが焚かれ、サイレンが鳴り響く演出が施された。
ジーン・シモンズが剣の形をした種火を手にすると、客席から悲鳴のような歓声が沸き起こった。
ジーンの口には特殊な液体が仕込まれている。
一歩一歩ゆっくりと舞台の中央へと足を進めて…たっぷりと視線を引きつけたところでジーンが種火に液体を吹きかける。

「ブワァ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」


次の瞬間、オーディエンスは総立ちで拳を突き上げ、会場は興奮の坩堝と化した。

「俺は仁王立ちだった。歓声が心地よくてたまらなかったよ。数秒後、俺の周りに異臭が立ち込めた。スタッフが駆け寄ってきて俺の頭を濡れたタオルで包もうとしてきた。晴れ舞台を飾るために、これでもかと吹きかけておいたヘアスプレーに火がついていたんだ。客はそれを見てさらに興奮していたよ。」



数週間後、イギリスの音楽誌『サウンズ』に、世界各地で大晦日に行われた年越しコンサートのレポートが掲載されていた。
KISSの写真はジーンの“火吹き”と共に大きく取り上げられていた。
その日以降、彼らがステージに登場すると客席から凄まじい歓声が上がるようになったという。
それはまさにKISSの人気に“火が点いた”瞬間だった。



1974年2月8日、設立されたばかりのカサブランカ・レコードから彼らの記念すべき1stアルバム『KISS(地獄からの使者〜キッス・ファースト)』がリリースされる。
デビュー当初は、そのインパクトの強いメイキャップのせいもあって色物系バンドとして扱われていた彼らだったが、コツコツと全米ツアーを行う中、テレビ番組『In Concert』や『The Mike Douglas Show』に出演し、多くのロックファンの心を掴んでゆく…


<引用元・参考文献『ポール・スタンレー自伝 モンスター 仮面の告白』ポール・スタンレー(著)ティム・モア(著),増田勇一(監修)迫田はつみ(翻訳)/ シンコーミュージック>

<引用元・参考文献『KISS AND MAKE‐UP―ジーン・シモンズ自伝』ジーン・シモンズ(著)大谷淳(翻訳)/シンコーミュージック>





こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。










【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神”】

6月18日(土)金沢JealousGuy
6月19日(日)富山・高岡GOOD FELLOWS
6月25日(土)高円寺MOONSTOMP
7月22日(金)青森Be on café 222
7月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC 
7月24日(日)秋田Yuki’s Hookah Bar(昼公演)
7月24日(日)秋田Yuki’s Hookah Bar(夜公演)

↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
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【歌ものがたり2022 雨ニモマケズ風ニモマケズ】



7月16日(土)米子Music Bar Hana Hana
7月17日(日)鳥取LOVE FLASH FEVER
7月18日(月・祝)松江B1
7月30日(土)静岡・御前崎Cook House椿
7月31日(日)愛知県・東海市Funky LIVE Dinerダイナマイト
8月6日(土)東京(調布市)柴崎RATHOLE
8月7日(日)埼玉・新所沢LAD COMPANY 
8月19日(金)徳島SOUND SPACE FUN
8月20日(土)徳島Music Bar Ricky 
8月21日(日)倉敷 下津井スタイラス
8月22日(月)兵庫(伊丹) BAR BOILER ROOM
8月26日(金)東広島(西条)HOTEL VAN CORNELL屋上
8月27日(土)福岡(警固)呑処 岡ひろ
8月28日(日)大牟田 陽炎
9月3日(土)田川Diamond Moon
9月4日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
9月17日(土)京都LIVE&SALON夜想



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【THE HUNDREDS 佐々木モトアキ×NOBUYAN’ Special Acoustic Live Tour 2022 “Only 2Men-6Days”】

9月18日(日)大阪 新世界ヤンチャーズ
9月19日(月・祝)名古屋 ROLLING MAN
9月22日(木)福岡 Bar KINGBEE
9月23日(金・祝)福岡 Bar KINGBEE
10月1日(土)新潟 Live Bar Mush
10月2日(日)仙台 Cafe de Lucille

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佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

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【佐々木モトアキ プロフィール】
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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki



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