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Channel: 佐々木 モトアキ – TAP the POP
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ぼくたちの失敗・森田童子〜引退から10年後に突如として注目を集めた謎のカリスマ歌手

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春の木漏れ日の中で
君の優しさに埋もれていた僕は
弱虫だったんだよね



森田童子。
彼女は、人前ではサングラスを決して外さなかったといわれている。
本名も素顔もすべて謎のアーティストである。
公表しているパーソナルデータといえば…1952年1月15日に東京都で生まれたということくらいだ。
1970年代の中頃…音楽ファンの一部からはカリスマ的な存在として注目も浴びていたが、本人がメジャーな展開を望んでいなかったこともあり、メディアなどで表立って紹介されることもなかったという。
活動当時にはさほどヒットを飛ばすこともなく1983年に引退。
そして10年の歳月が流れる…。

この「ぼくたちの失敗」は、1993年にヒットしたTVドラマ『高校教師』の主題歌に起用され、突如としてヒットチャートに躍り出ることとなった。
真田広之と桜井幸子の主演によって、教師と生徒の愛という禁断のテーマが描かれた物語は、野島伸司がTBSで初めて連続ドラマの脚本を手掛け、最終回に33%という高視聴率を記録。
楽曲のヒットと共に、すでに引退を表明していた森田童子にも世間の関心は高まる。
そのケースは、通常の“リバイバル”とは意味合いが違っていた。
現役時代において、そもそもヒットらしいヒットもなく“知る人ぞ知る”伝説のフォークシンガーだった彼女。
デビューしたのは、さかのぼること18年…1975年だった。
“しらけ世代”と呼ばれる当時の風潮の中で、真正面から“青春”を歌う彼女の歌は、ある意味衝撃的でもあり、若者たちの間に浸透していったという。
ボサボサのヘアースタイル、素顔を隠す大きなサングラス、無表情のまま囁くように歌う歌唱…そんな個性的なアーティストの出現に、周囲はある種のカリスマ性を感じていた。
彼女は1968年〜70年初頭に起きた学生運動・安保闘争の時代に高校生活を送っていた。
彼女のクラスメイトや幼馴染みも、この闘争に巻き込まれていったという。
そんな悲しく、やり場のない怒りに満ちた時代に彼女が耳にしたのが、サイモン&ガーファンクルやアル・スチュアートのメロディーだった。
そんな音楽との出会いと同時期に、彼女は高校を中退する。
ほどなくして彼女は友達の一人が亡くなったことを一枚の葉書で知らされる。
その死因が闘争に巻き込まれてのものだったのか、病気や事故だったのかははっきりとされていないのだが…彼女はその友達の死をきっかけに、歌い始めたのだという。
彼女の作る歌には痛々しいまでの思春期の感情が描かれていた。

TVドラマ『高校教師』のプロデューサーだった伊藤一尋は、当時“異例”とも言われた楽曲の起用についてこんな風に語っている。

「当時は、いかにも“歌を売らんかな”という状況があって、それが嫌だったんです。そんな時、脚本を担当した野島伸司君と学生時代に何をしていたか?という話になって、「森田童子を聴いていた」という共通項が見つかったんです。二人とも単純に彼女の歌が好きだったから…という理由で主題歌を彼女の曲しようと決めたんです。その中でもドラマの内容に則した透明感のある楽曲ということで、この歌を選んだんです。」

この曲のヒット後、彼女はかたくなに沈黙を貫いていた。
本人はこの騒ぎに対し「現在は主婦業に専念しており、音楽活動を再開する気は全くない」とだけ発言し、以降は一切の発言を拒んだという。
ある記者が、彼女の消息を知る人を介して、その“沈黙の真意”を問う対話がしたいと打診してもらったらしいが…とても親しかった人との唐突な死別と、自らの病で「手紙すら書けないほど憔悴している」という返答があっただけだという。
謎めいたまま…危ういバランスで繋ぎとめられている世界が、まだそこにあったのだ。
そして2018年4月24日、彼女は心不全のためこの世を去っていった。(享年65)


<引用元・参考文献『J-POP名曲事典300曲』/富澤 一誠(ヤマハミュージックメディア)>
<引用元・参考文献『うたの旅人』/朝日新聞・1990年>




こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。






『山部“YAMAZEN”善次郎×佐々木モトアキ ダブルネーム弾き語りTOUR “ちょっと長い関係の歌旅2022”】


1月15日(土)八幡DELSOL café
1月22日(土)福岡ROCK食堂(昼公演)
1月22日(土)福岡ROCK食堂2階Honey Bee(夜公演)
1月23日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis 
1月29日(土)大阪 新世界ヤンチャーズ
1月30日(日)和歌山OLD TIME
2月5日(土)久留米 農と音2号店 
2月6日(日)佐賀 雷神 
2月18日(金)横浜THUMBS UP
2月19日(土)静岡・御前崎Cook House椿
2月20日(日)名古屋ROLLINGMAN
2月22日(火)金沢JealousGuy
2月23日(水・祝)新潟Mush
3月4日(金)沖縄・コザ CROSSOVER CAFE’ 614
3月5日(土)沖縄・那覇Drunk CINDERELLA
3月6日(日)沖縄・宮古島 雅歌小屋
3月19日(土)下北沢ニュー風知空知
3月20日(日)茨城・水戸Jazz Bar Bluemoods
3月21日(月・祝)埼玉・所沢MOJO
3月25日(金)広島LIVE café Jive
3月26日(土)岡山Desperado
3月27日(日)徳島Music Bar Ricky
4月15日(金)小郡ジラソーレ
4月16日(土)熊本八代7th chord 
4月17日(日)大牟田 陽炎
4月21日(木)仙台HIGHBURY
4月22日(金)福島Harvest
4月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC 
4月24日(日)秋田・湯沢BASEMENT
4月28日(金)東広島pasta amare 
4月30日(土)福岡Bassic.(ライブ&スペシャルスライドショー)

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【歌ものがたり2022春〜雨ニモマケズ風ニモマケズ】


1月16日(日)長崎・タンゲ食堂
2月8日(火)福岡・大牟田Casual Bar Version
2月12日(土)東京・高円寺MOONSTOMP   
2月13日(土)埼玉・川越 大黒屋食堂  
2月26日(土)福岡・薬院 遊来友楽 
2月27日(日)北九州・黒崎 居酒屋 中村屋
3月12日(土)群馬・前橋 呑竜横丁  ※詳細未定
4月2日(土)兵庫・宝塚 ※会場・詳細未定
4月3日(日)京都・四条大宮高辻 夜想 ※詳細未定
4月9日(土)茨城・古河LIVESTATION ”L” ※詳細未定

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佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
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音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。


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【佐々木モトアキ プロフィール】
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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
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