私はモノクロのジャケットを見つめた。
私はアルバムの隅々まで眺めた。
私は全ての曲を盤が磨り減るまで聴いた。
全てが計り知れない意味を秘めていた。
それは私の人生を変えた。
『Horses』は深く精神的な影響を私に与えた。
──D・D・フェイ(ロンドン在住のジャーナリスト、ニック・ジョンストンの友人)
パティ・スミスと“特別な関係”にあった写真家ロバート・メイプルソープが撮影したカヴァー写真によって『Horses』は、ロックの歴史上“最も有名な”レコードジャケットの一つとなった。
この写真が撮影されたのは1975年の初秋頃だったといわれている。
場所は様々なアーティスト達が根城としていたニューヨークのワシントンスクエア。
同性愛者だったロバート・メイプルソープの恋人としても知られる美術コレクターのサム・ワグスタフが所有する新しいペントハウスで行われた。
パティは、撮影当日の様子をこんな風に回想している。
「その日、わたしは寝過ごしてしまったの。
慌てて、いつもステージや通りで着ている自分の制服のような服に着替えたわ。
ロバートは何も言わず、すぐに仕事に取りかかった。
アシスタントは使わなかったわ。
彼が欲しがっていた三角形の影ができていたが、陽は動きつつあり影は消えようとしていた頃、ロバートはわたしにジャケットを脱ぐように言った。
シャツの白さが気に入ったのよ。
わたしはジャケットをシナトラ風に肩に引っかけた。
シナトラの何気ない大胆さが出るように。」
ロバートは、自然光を使い、天使の翼のようにパティの肩から逆光が跳ね返るように撮影した。
アイロンのあてられていない白シャツとタイトなジーンズは、70年代当時のキース・リチャーズやボブ・ディラン風の着こなしだった。
そのファッションは明らかに男物だったが、細く長い首、そしてシャツの袖から胸元に伸びる手首や指先は、むしろ“女性らしさ”を強調していた。
アルバムの発売元だったアリスタレコードは、この両性具有的に写ったパティの写真を良しとはしなかった。
アリスタはボサボサの髪の毛をエアブラシで修正することなど“売るため”の提案をしてきたが、パティはそれを拒否した。
「この写真はロバート・メイプルソープとの共同作業によってもたらされたものであり、芸術上の決定権は自分にあるのだ。」
と言ってアリスタに主張したのだ。
元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルがプロデュースした彼女の記念すべきデビューアルバム『Horses』は、同年の12月にリリースされ、アメリカのチャートを47位まで駆け上った。
リリースから長い時を経ても“伝説的なアルバム”として愛され続けた同作は、2003年に『ローリング・ストーン誌』が選出したオールタイム・グレイテストアルバム500で44位にランクインした。
U2のボノは「自分に大きな影響を与えたアルバム」として挙げており、R.E.M.のマイケル・スタイプは「人生を変えたアルバム」とし公言している。
また同作のリマスターCDには、イギリスのロックバンド、ザ・フーが1965年に発表した名曲「マイ・ジェネレーション」のカヴァーバージョンが収録されている。
それに伴ってパティは当時のことを振り返りながら、このアルバムジャケットに関してこんな印象的な言葉を残している。
「今それを見ると、わたしたちの世代に特有の、神聖な歌のような無アート性を確かに捕らえているのが確認できるわ。」
「わたしたちの世代。興奮するため、驚きのため、若さの可能性のすべてを共鳴させようと、新しい風景を探した種族。」
奴らは俺達を押さえつけようとする
ただちょっと目立つからって
あいつらはひどく冷たい気がするぜ
あんな風に歳を取る前に死にてぇよ!
これが俺の世代!
これが俺達の世代なんだ
いつの時代にも、どんな世代にも“主張”がある。
「今」を生きる若者達。
「今まで」を生きてきた大人達。
「これから」を生きる子供達。
新しい風景を探す種族=若者達が今、心から“平和な未来”を願っている。
我々は選択を過ってはならない。
このアルバムジャケットに写るパティ・スミスの瞳は…世代を超えて言葉以上の何かを語り続ける。
世界は今、戦争の方向へと向かおうとしています。
戦争はすべて道徳に反しており、間違ったものです。
戦争の結果は、あなた達の祖先が経験した
悲惨なものでしかありません。
戦争の悲惨さを日本ほど理解している国はありません。
自分達の歴史を学び、子ども達に教えて、世界の見本となって下さい。
広島や長崎の悲劇を、私達は忘れてはなりません。
私は戦後、1946年に生まれた者として、先祖に代わって謝ります。
あなた達の国で起きたことについて謝ります。
原爆を作ったことに対して謝ります。
世界中の子ども達が原爆と言う恐怖に見舞われ、
生きなければならなくなったことを謝ります。
(2002年フジロック・フェスティバルのステージでパティ・スミスが語った言葉より)
こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。
『山部“YAMAZEN”善次郎×佐々木モトアキ ダブルネーム弾き語りTOUR “ちょっと長い関係の歌旅2022”】
1月15日(土)八幡DELSOL café
1月22日(土)福岡ROCK食堂(昼公演)
1月22日(土)福岡ROCK食堂2階Honey Bee(夜公演)
1月23日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
1月29日(土)大阪 新世界ヤンチャーズ
1月30日(日)和歌山OLD TIME
2月5日(土)久留米 農と音2号店
2月6日(日)佐賀 雷神
2月18日(金)横浜THUMBS UP
2月19日(土)静岡・御前崎Cook House椿
2月20日(日)名古屋ROLLINGMAN
2月22日(火)金沢JealousGuy
2月23日(水・祝)新潟Mush
3月4日(金)沖縄・コザ CROSSOVER CAFE’ 614
3月5日(土)沖縄・那覇Drunk CINDERELLA
3月6日(日)沖縄・宮古島 雅歌小屋
3月19日(土)下北沢ニュー風知空知
3月20日(日)茨城・水戸Jazz Bar Bluemoods
3月21日(月・祝)埼玉・所沢MOJO
3月25日(金)広島LIVE café Jive
3月26日(土)岡山Desperado
3月27日(日)徳島Music Bar Ricky
4月15日(金)小郡ジラソーレ
4月16日(土)熊本八代7th chord
4月17日(日)大牟田 陽炎
4月21日(木)仙台HIGHBURY
4月22日(金)福島Harvest
4月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC
4月24日(日)秋田・湯沢BASEMENT
4月28日(金)東広島pasta amare
4月30日(土)福岡Bassic.(ライブ&スペシャルスライドショー)
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12713121312.html
【歌ものがたり2022 雨ニモマケズ風ニモマケズ】
4月2日(土)兵庫・宝塚 IL grazie
4月3日(日)京都・四条大宮高辻 夜想
4月9日(土)茨城・古河LIVESTATION ”L”
5月3日(火・祝)福岡・みやま市 暖古扉(だんぶるどあ)
5月4日(水・祝)大分・日田Chewing Gum
5月14日(土)横浜Bar Brixton Market
5月15日(日)静岡・三島 ぐらBar’s
5月21日(土)群馬・前橋 呑竜横丁
5月27日(金)名古屋ROLLINGMAN
5月28日(土)和歌山OLD TIME
5月29日(日)大阪 大きな輪
6月3日(金)小倉Bar Disa
6月4日(土)福岡Bar KINGBEE
6月5日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
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佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
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佐々木モトアキ
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