木村充揮。
1975年、憂歌団のボーカルとしてデビュー以来“天使のダミ声”と称される独特の声とブルースフィーリング溢れる独特の歌い回しで絶大な人気を誇ってきた。
現在はソロ活動を中心にロック、ジャズ、ブルースにとどまらず演歌や民俗音楽にいたるまで、あらゆるカテゴリーを包括したボーダーレスなシンガーとして多方面で活躍している。
その唯一無二のライブパフォーマンスは数多くの若いアーティストからのリスペクトも集め、音楽ファンを魅了し続けている。
今回は、そんな日本を代表する“稀代の唄うたい”が、若かりし頃に憧れた歌手、そして刺激を受けた音楽体験をご紹介します。
「まず小学校の頃、僕が好きだったのは美空ひばり、越路吹雪、西田佐知子、そしてアストラッド・ジルベルト。中でもジルベルトの鼻歌に近いチカラの抜けた歌い方が好きだった。憂歌団でよく一緒のステージに出してもらった浅川マキさんもその系列だ。あの力の抜き方、あの感情、あの色合い、あの匂い…すべてが素敵だった。マキさんの歌を聴いた時、あぁええなぁと思った。歌謡曲とかと全然違う感じ。当時、マキさんは30代、僕は二十歳そこそこのガキだった。」
1970年代、大阪ミナミの島之内教会で3日間連続の浅川マキ単独公演が行われた。
バックミュージシャンとして憂歌団のギタリスト・内田勘太郎が呼ばれ、木村はそれを観に行ったという。
浅川マキは客席にいる木村を見つけると、ステージに上げて歌わせたのだ。
「一曲だけ“サマータイム”を歌わせてもらって、嬉しかった。マキさんはその時も、アカペラで何曲か歌ってた。時には1ステージまるまるアカペラでやるという。僕はこの歳になってもアカペラでやれるのはせいぜい5分くらい。やっぱりマキさんは凄い!」
彼は、これまでに様々な歌手を“お手本”にして歌を磨いてきたという。
エラ・フィッツジェラルド、ハリー・ベラフォンテ、ビートルズのジョンとポール、ミック・ジャガー、ボブ・マーリー、そしてレイ・チャールズ。
「色んな歌手が僕の歌の“先生”だった。だけど、レイ・チャールズだけは真似ようとは思わなかった。僕なんかにとても真似ができるとは思わなかったからだ。ビートルズは歌の上手さもさることながら、一曲の中の歌の構成が抜群だった。ストーンズはレコードがどれもライブっぽく聴こえた。一度だけ東京ドームで観たけど、やっぱり凄いバンドだった。」
1975年に憂歌団でデビューした彼は、以降、コンサートやイベントを通じて様々なミュージシャンと出会ってゆく。
上田正樹とサウス・トゥ・サウスとは京都のライブハウスでよく共演したという。
「彼らはR&Bのカヴァーも良かったし、日本語のオリジナルも良かった。極道の兄さんのことを歌った“むかでの錦三”なんかホンマにオモロイなぁと思っていた。上田正樹と有山淳司の名義で出したアルバム“ぼちぼちいこか”なんか、ラグタイムミュージックに大阪弁がうまく乗せられていて、当時は“へぇー!こんなことができるんや!”と驚いた。あれは日本のブルース史に残る名盤だと思う。キー坊があの頃、僕の歌の先生だったことは確かだ。」
彼がRCサクセションと初めて会ったのは1978年秋の大阪・桃山学院大学の学園祭だった。
当時、同学祭では“オールナイトフェスティバル”が恒例になっていて、関西だけに限らず東京からも話題のバンドが出演していた。
その年のラインナップは、上田正樹、アナーキー、石田長生とGAS、誰がカバやねんロックンロールショー、そして憂歌団とRCサクセションだった。
「楽屋で“化粧してるバンドがいてるぞ!”と誰かが言ってきて、僕らは野次馬根性で彼らの楽屋を覗きに行った。それが東京から来たというRCだった。彼らの出番になって、興味津々で客席まで出て観たんだ。ステージに化粧したギタリストが現れてイントロを引き出すと、今度はスポットライトを浴びながら、もっと派手な化粧をしたボーカルが踊りながら現れた。ピエロみたいな顔のボーカルが客席に向かって高らかにバンドの登場を告げる。“よーこそ!”僕の心臓の動悸は一気に高まり、思わず叫んだ。“ひゃー!カッコいい!”演奏が終わって楽屋に戻ってきた彼らを、僕らはただただ驚嘆と称賛の目で見つめていた。」
「西田佐知子も、レイ・チャールズも、ビートルズも、ストーンズも、キー坊(上田正樹)も、清志郎も、甲本ヒロトも、みんな歌に込められた自分の“気持ち”を伝えている。流れの中で何も考えずに、自然に自分の気持ちが歌になると最高に幸せだ。そして、そんなことがたまにあるのだ。いつだったかクラプトンの“Tears In Heaven”と歌っていて、とても幸せな気持ちになった。幸せは空からきているような気もしたし、自分の胸から湧いてきているような気もした。そして、演奏の間、どこからかこんな声が聞こえた…Oh,Boy がんばりや。好きなようにやりや。」
<引用元・参考文献『木村充揮自伝 ~憂歌団のぼく、いまのぼく』木村充揮(著)/ K&Bパブリッシャーズ>
こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。
『山部“YAMAZEN”善次郎×佐々木モトアキ ダブルネーム弾き語りTOUR “ちょっと長い関係の歌旅2022”】
1月15日(土)八幡DELSOL café
1月22日(土)福岡ROCK食堂(昼公演)
1月22日(土)福岡ROCK食堂2階Honey Bee(夜公演)
1月23日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
1月29日(土)大阪 新世界ヤンチャーズ
1月30日(日)和歌山OLD TIME
2月5日(土)久留米 農と音2号店
2月6日(日)佐賀 雷神
2月18日(金)横浜THUMBS UP
2月19日(土)静岡・御前崎Cook House椿
2月20日(日)名古屋ROLLINGMAN
2月22日(火)金沢JealousGuy
2月23日(水・祝)新潟Mush
3月4日(金)沖縄・コザ CROSSOVER CAFE’ 614
3月5日(土)沖縄・那覇Drunk CINDERELLA
3月6日(日)沖縄・宮古島 雅歌小屋
3月19日(土)下北沢ニュー風知空知
3月20日(日)茨城・水戸Jazz Bar Bluemoods
3月21日(月・祝)埼玉・所沢MOJO
3月25日(金)広島LIVE café Jive
3月26日(土)岡山Desperado
3月27日(日)徳島Music Bar Ricky
4月15日(金)小郡ジラソーレ
4月16日(土)熊本八代7th chord
4月17日(日)大牟田 陽炎
4月21日(木)仙台HIGHBURY
4月22日(金)福島Harvest
4月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC
4月24日(日)秋田・湯沢BASEMENT
4月28日(金)東広島pasta amare
4月30日(土)福岡Bassic.(ライブ&スペシャルスライドショー)
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12713121312.html
【歌ものがたり2022 雨ニモマケズ風ニモマケズ】
4月2日(土)兵庫・宝塚 IL grazie
4月3日(日)京都・四条大宮高辻 夜想
4月9日(土)茨城・古河LIVESTATION ”L”
5月3日(火・祝)福岡・みやま市 暖古扉(だんぶるどあ)
5月4日(水・祝)大分・日田Chewing Gum
5月14日(土)横浜Bar Brixton Market
5月15日(日)静岡・三島 ぐらBar’s
5月21日(土)群馬・前橋 呑竜横丁
5月27日(金)名古屋ROLLINGMAN
5月28日(土)和歌山OLD TIME
5月29日(日)大阪 大きな輪
6月3日(金)小倉Bar Disa
6月4日(土)福岡Bar KINGBEE
6月5日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12731640575.html
佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。
佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。
例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
ライブイベントの紹介・宣伝文や、アーティストの紹介文なども対応できます。
音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。
音楽、人、食、商品、街(地域)…私たちが関わるものすべてには“ものがたり”があります。
あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします︎
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
sasa@barubora.jp
090-2669-2666
【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html
【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki
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