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Channel: 佐々木 モトアキ – TAP the POP
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パブロックの雄が放った珠玉のメッセージソング〜平和、愛、そして理解しあう事のどこがおかしいんだい?

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「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」/ニック・ロウ


僕はこの荒れはてた世界を歩き続けながら
狂気の沙汰の中でも希望の光を探している
すべての希望は枯れてしまったのか?と自問しながら
この世界には苦痛と憎悪、そして貧困しか残っていないのかと…


今からさかのぼること47年…英国のミュージシャン、ニック・ロウはこの“完璧なメロディ”と言っても過言ではない珠玉のメッセージソングを発表した。
ニックはアメリカ音楽への造詣が深く、カントリーなどのルーツミュージックへのリスペクトを払いながらも、見事なポップミュージックへと昇華させたオリジナルソングを世に送り出してきた男だ。
この「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」[※曲タイトルはバージョンによって「What’s So Funny’Bout Peace, Love & Understanding?」と表記]は、そんな彼がBrinsley Schwarz(ブリンズリー・シュウォーツ)[※’70年代当時はブリンズレー・シュワルツと表記]というバンド時代に書いた名曲のひとつである。


パンクロック、ハードロック、グラムロック、プログレッシブロックなどなど多岐に渡る“ロックジャンル”の中にパブロックと呼ばれるジャンルがある。
70年代前半からイギリスで巻き起こったムーブメントの一つだ。
ニック・ロウが在籍していたブリンズリー・シュウォーツは“パブロックの礎”ともいえる伝説的なグループなのだ。
この“ブリンズリー・シュウォーツ”というちょっと不思議な名前は、当時リーダーでギター&ボーカルを担当していたブリンズリー・シュウォーツの名前がそのままバンド名になったものだという。
ニックは、あるインタヴューでバンド名が決まった経緯についてこう語っている。

「彼(ブリンズリー)は他のメンバーより年上だったんだ。他のみんなは当時まだガキでね。別に彼が自ら“これは僕のバンドだから自分の名前を付けたい”と言ったわけではなかったけれど、最年長ということで…言ってみれば彼がバンドリーダーのような者だったんだよ。それに彼がすごく珍しい名前だったというのもあって…他に特に理由はなかったね。」

前身バンド“Kippington Lodge(キッピントン・ロッジ)”にニックがベーシストとして加入したのが1968年のこと。
ポップロック調のシングルを数枚発表した後、ボブ・アンドリュース(キーボード)、ビリーランキン(ドラムス)に落ち着いて“ブリンズリー・シュウォーツ”に改名する。
当時のことをニックはこんな風に語っている。

「僕はブリンズリーと同じ学校に通っていたんだ。学校を卒業してプロのミュージシャンになるまで、僕はまっとうな職に就いていたんだ。ある日ブリンズリーが電話してきて、当時彼がやっていたバンド(キッピントン・ロッジ)に入らないか?と言ってきたんだよ。彼らはすでにレコード会社と契約を交わしていたんだけど、それは当時としては凄いことだったんだ。それで僕はすぐに仕事をやめて、彼の住んでいた街へ行ってバンドに加入したんだよ。そのバンドが後に“ブリンズリー・シュウォーツ”という名前に変わったんだ。」


「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」/ブリンズリー・シュウォーツ


平和、愛、そして理解しあう事のどこがおかしいんだい?
なぁ、平和、愛、そして理解しあう事ってそんなダサイのかい?


このバンドのスタートは順風満帆なものではなかった…。
デビュー前に巨額を投じてアメリカでのプロモーションを展開するも、結果はボロボロ…多額の負債を背負うことになる。
70年に晴れてデビューするも、別名義でリリースしたり、年間300本ともいわれるパブでのライブなど地道な活動が続いたのだ。
ビートルズ以降の70年代のイギリスのロックと言えばハードロックやプログレッシブロックなどが登場して一大勢力を築いていく時代。
そんな中にあって、彼らのサウンドはロックンロール、ブルース、カントリーなどのアメリカン・ルーツミュージックとも言えるシンプルなもの。
ゆえに“イギリスのザ・バンド”とも呼ばれていた。
当時、同じようにパブロックというジャンルを形成していたアーティストとしてイアン・デューリーやパイレーツ、デイヴ・エドモンズ、ドクター・フィールグッドらも名を連ねる中、彼らの功績と云えば、その数年後に発生することとなるパンクやニューウェイヴへ多大な影響を与えたことだろう。
後にニックがプロデューサーとして関わったダムドやプリテンダーズ、そしてこの名曲「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」をカヴァーして多くの音楽ファンにメッセージを伝えたエルヴィス・コステロの活躍は、まさに“伝説のバンド”ブリンズリー・シュウォーツの存在があってこそのものだった。

「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」/エルヴィス・コステロ


1972年にギター&ボーカルのイアン・ゴムが参加してからの3rdアルバム『Silver Pistol』はラインナップが固まっての代表作との呼び声も高く、その後も良質のアルバムを2枚発表するも…バンドは陽の目を見ることは無く1975年に解散する。
この名曲を収録したラストアルバム『The New Favourites of… Brinsley Schwarz』は、デイヴ・エドモンズのプロデュースによって1974年に発表されたもの。
ここでの意気投合がきっかけとなって、ニックとデイヴは後に“Rockpile(ロックパイル)”を結成し、さらに良質なポップミュージックを生み出してゆくこととなる。


※トップの写真はオフィシャルサイトから使用させていただきました

「Heart」/ロックパイル


「(What’s So Funny ‘Bout) Peace, Love, and Understanding」/ニック・ロウ(2014年)



ニック・ロウ『Quiet Please... The New Best Of Nick Lowe』

ニック・ロウ『Quiet Please… The New Best Of Nick Lowe』

(2009/ Proper)




こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。






『山部“YAMAZEN”善次郎×佐々木モトアキ ダブルネーム弾き語りTOUR “ちょっと長い関係の歌旅2022”】


3月25日(金)広島LIVE café Jive
3月26日(土)岡山Desperado
3月27日(日)徳島Music Bar Ricky
4月15日(金)小郡ジラソーレ
4月16日(土)熊本八代7th chord 
4月17日(日)大牟田 陽炎
4月21日(木)仙台HIGHBURY
4月22日(金)福島Harvest
4月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC 
4月24日(日)秋田・湯沢BASEMENT
4月28日(金)東広島pasta amare 
4月30日(土)福岡Bassic.(ライブ&スペシャルスライドショー)

↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12713121312.html





【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神”】

6月18日(土)金沢JealousGuy
6月19日(日)富山・高岡GOOD FELLOWS
6月25日(土)高円寺MOONSTOMP
7月22日(金)青森Be on café 222
7月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC 
7月24日(日)秋田Yuki’s Hookah Bar(昼公演)
7月24日(日)秋田Yuki’s Hookah Bar(夜公演)

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【歌ものがたり2022 雨ニモマケズ風ニモマケズ】



4月2日(土)兵庫・宝塚 IL grazie
4月3日(日)京都・四条大宮高辻 夜想 
4月9日(土)茨城・古河LIVESTATION ”L” 
5月3日(火・祝)福岡・みやま市 暖古扉(だんぶるどあ)
5月4日(水・祝)大分・日田Chewing Gum
5月14日(土)横浜Bar Brixton Market
5月15日(日)静岡・三島 ぐらBar’s
5月21日(土)群馬・前橋 呑竜横丁 
5月27日(金)名古屋ROLLINGMAN
5月28日(土)和歌山OLD TIME
5月29日(日)大阪 大きな輪
6月3日(金)小倉Bar Disa
6月4日(土)福岡Bar KINGBEE
6月5日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
6月10日(金)広島Jammin’ bar
6月11日(土)広島・呉Albatross
6月12日(日)岡山Record BAR COZY
6月17日(金)新潟Gallery Bar Veronica
7月2日(土)北九州・黒崎 居酒屋 中村屋
7月3日(日)大分・宇佐 音小屋REBOOT
7月9日(土)佐賀 雷神 
7月10日(日)長崎 タンゲ食堂

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佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
ライブイベントの紹介・宣伝文や、アーティストの紹介文なども対応できます。
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あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします✒
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
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090-2669-2666

【佐々木モトアキ プロフィール】
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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki

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