その人の名はエヴァ・キャシディ。
33歳で夭折した彼女の歌声は、人々の心の中で静かに生き続けている。
Nightbird(夜鳥)というタイトルがつけられたこのアルバムが、多くの人の手元に届くことを願いながら…その“奇蹟の歌声”をあらためてご紹介します。
1996年7月、彼女は皮膚癌の一種“メラノーマ(悪性黒色腫)”と診断される。
癌はすでに腸骨に転移しており、余命3〜5ヶ月と宣告されたという。
そして9月、彼女は急速に失われてゆく体力をふり絞るように“人生最後のステージ”にのぼる。
その公演は、友人や家族を含むファンが見守る中、自身が生まれ育った地元ワシントンD.C.の小さなライブハウスで行われた。
その夜、彼女がラストソングに選んだのは…ルイ・アームストロングの「What A Wonderful World」だった。
その死から3年と数ヶ月後…2000年の或る日、イギリスのBBCラジオから彼女が歌った「Over The Rainbow(虹の彼方へ)」が流されると、問い合わせが殺到した。
その“無名の歌声”は、たちまちリスナー達を虜にし、この曲を収録した彼女のアルバム『Songbird』は瞬く間に全英No.1を獲得する。
それに呼応するように、全米POPチャートでもNo.1となった。
そんな“奇蹟の歌声”を持っていた彼女は、いったいどんな人生を歩んだ人なのだろう?
1963年、彼女は4人兄妹の3番目の子としてワシントンD.C.で生まれた。
小さい頃から絵画と音楽の才能を示したという。
ジャズが好きだった父親は、娘が9歳のときにギターの弾き方を教え、彼女は家族や親戚の集まりで弾き語りを始める。
当時、彼女が憧れていたのは、ネイティヴ・アメリカンの血を引く平和主義者としても知られているバフィー・セントメリーというカナダのシンガーソングライターだった。
ハイスクールに通うようになった彼女は“ストーンヘンジ”という名前の学生バンドで歌い、地元で頭角をあらわす。
そして、卒業と同時に18歳から“イージーストリート”というバンドに加入し、本格的な音楽キャリアをスタートする。
1980年代、彼女はいくつもバンドを渡り歩きながら、モータウン系のソウルミュージックからテクノポップまで幅広い音楽ジャンルを吸収してゆく。
この時期、音楽だけでは食べていけなかった彼女は、メリーランド州のアナポリスで種苗会社の育成員や家具塗装工として働いていたという。
そして、彼女はクリス・ビオンドという最愛のパートナーと出会う。
地元で音楽プロデューサーを志していたクリスのサポートを受けながら地道な活動を続ける中、彼女はワシントンDCで生まれた独特の黒人音楽“GO-GO(ゴー・ゴー)”の生みの親であるチャック・ブラウンとのコラボレーションを果たし、ようやく注目を集め始める。
公私共に彼女を支えてくれるクリスと一緒に暮らしながら、多くの曲を録音し「さあ!これからアルバムをリリースして…」という矢先に、彼女は余命宣告を受ける。
そして1996年11月2日──エヴァ・キャシディ永眠。
本人の遺志により遺体は火葬され、その灰はモンタナ州にあるセントメリー湖とメリーランド州の自然保護区に散骨された。
少女時代に憧れたバフィー・セントメリーと同じく…彼女もまた、その歌声を通じて世界の平和を願っていたという。
彼女の歌声は、ジャンルを限定しないものだった。
ある時は、陽だまりの暖かさを感じさせるフォークを。
ある時は、突き抜けていく青空を思わせる洗練されたカントリーを。
あるセッションでは、夜の闇に静かに燃えるジャズを。
異国の地で生まれたシャンソンやスタンダードナンバーを。
そして時として、哀しみや孤独を内包したブルースをも唄い上げることのできるシンガーだった。
だが、皮肉にもそれが彼女にとってデビューが遅れた原因となった。
彼女が出演していた地元ワシントンD.C.にあるライブハウス『Blues Alley』には、その評判を聞きつけて数々のレコード会社が訪れたという。
彼らは、その幅広いレパートリーに驚きながらも「君はジャズを歌うべきだ」「オリジナル曲とのバランスを整理したら?」と、いずれの担当もジャンルを絞り込むよう彼女を説得したが、ジャンル分けされることに強い抵抗感を持っていた彼女はこれを拒否し続けた。
よって、ソロ名義で生前にリリースされたアルバムはライブ盤『Live At Blues Alley』の1枚だけだった。
死後のリリースも含めても、本人が残したオリジナルアルバムは3枚のみである。
現在、世に出ている他のアルバムは、彼女のパートナーや遺族の理解よって残された音源を編集してリリースされたものである。
そして、彼女が生前にリリースした唯一のライブ盤『Live At Blues Alley』(1996年)のレコーディングから20年目を迎えること記念して、未発表テイク+貴重なライブ映像DVDをパッケージした『Nightbird』が発表された。
もしもあなたが“心に響くの音楽”を欲しているのならば…是非、彼女の歌声に触れてみて欲しい。
こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。
『山部“YAMAZEN”善次郎×佐々木モトアキ ダブルネーム弾き語りTOUR “ちょっと長い関係の歌旅2022”】
3月25日(金)広島LIVE café Jive
3月26日(土)岡山Desperado
3月27日(日)徳島Music Bar Ricky
4月15日(金)小郡ジラソーレ
4月16日(土)熊本八代7th chord
4月17日(日)大牟田 陽炎
4月21日(木)仙台HIGHBURY
4月22日(金)福島Harvest
4月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC
4月24日(日)秋田・湯沢BASEMENT
4月28日(金)東広島pasta amare
4月30日(土)福岡Bassic.(ライブ&スペシャルスライドショー)
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12713121312.html
【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神”】
6月18日(土)金沢JealousGuy
6月19日(日)富山・高岡GOOD FELLOWS
6月25日(土)高円寺MOONSTOMP
7月22日(金)青森Be on café 222
7月23日(土)岩手・二戸 HOUSE OF PICNIC
7月24日(日)秋田Yuki’s Hookah Bar(昼公演)
7月24日(日)秋田Yuki’s Hookah Bar(夜公演)
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
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【歌ものがたり2022 雨ニモマケズ風ニモマケズ】
4月2日(土)兵庫・宝塚 IL grazie
4月3日(日)京都・四条大宮高辻 夜想
4月9日(土)茨城・古河LIVESTATION ”L”
5月3日(火・祝)福岡・みやま市 暖古扉(だんぶるどあ)
5月4日(水・祝)大分・日田Chewing Gum
5月14日(土)横浜Bar Brixton Market
5月15日(日)静岡・三島 ぐらBar’s
5月21日(土)群馬・前橋 呑竜横丁
5月27日(金)名古屋ROLLINGMAN
5月28日(土)和歌山OLD TIME
5月29日(日)大阪 大きな輪
6月3日(金)小倉Bar Disa
6月4日(土)福岡Bar KINGBEE
6月5日(日)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
6月10日(金)広島Jammin’ bar
6月11日(土)広島・呉Albatross
6月12日(日)岡山Record BAR COZY
6月17日(金)新潟Gallery Bar Veronica
7月2日(土)北九州・黒崎 居酒屋 中村屋
7月3日(日)大分・宇佐 音小屋REBOOT
7月9日(土)佐賀 雷神
7月10日(日)長崎 タンゲ食堂
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12733736025.html
佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。
佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。
例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
ライブイベントの紹介・宣伝文や、アーティストの紹介文なども対応できます。
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【佐々木モトアキ プロフィール】
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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
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